Hypha Discovery ~ 代謝物合成

Hypha Discoveryは代謝物の合成と同定に専門的に取り組んでいます。世界各国の大小の製薬企業および農薬企業に対して、あらゆる種類の第I相および第II相代謝物を提供しています。

顧客に提供される代謝物はさまざまな用途に供されます。:

  • NMRによる構造同定
  • 生体試料分析法の開発およびDDI試験の標準物質
  • 臨床定量的生体分析の標準品
  • FDAのMISTガイドライン、EMAのICHガイドラインM3(R2)などの規制ガイドラインを満たすDMPK/Tox試験
  • ターゲット活性もしくはオフターゲット活性の測定
  • 酵素動態および内因性クリアランスアッセイ
  • 特許の適用範囲および構造活性相関(SAR)の探索

CYPおよびnon-CYP由来の第I相代謝物、すべての種類のグルクロン酸抱合体を含む第II相複合体など、様々な経路から生じる代謝物を手にできる可能性があります。

Hyphaがよく製造を依頼される代謝物は以下のとおりです。

  • 酸化代謝物
    • CYPを介した代謝物
    • AOX、FMOなどCYP以外を介した代謝物
    • CYPおよびエポキシド加水分解酵素の作用に起因するジヒドロジオールなどの混合第I相酵素代謝物
  • 0-グルクロン酸
  • アシルグルクロン酸
  • N-グルクロン酸抱合体
  • N-カルバモイルグルクロニド
  • 硫酸化代謝物
  • GSH抱合体
  • グルコースおよびその他の糖抱合体
  • 腸内細菌による代謝に起因する腸内代謝物
  • 混合経路又は多段階代謝産物(例:水酸化/グルクロン酸抱合代謝物)
  • 安定同位体標識および放射性同位体標識した代謝物

Hyphaの「ワンストップ代謝物ショップ(One-stop Metabolite Shop)」の概念は、最も合成が困難な代謝物であってもスケーラブルな合成を可能にする包括的なひとそろいの技術で構成されています。医薬品および農薬のヒトおよびその他の哺乳類の第I相および第II相代謝物の産生方法には、化学合成、哺乳類の生体内変化(肝臓およびその他の組織のS9/ミクロソーム)、微生物の生体内変化、PolyCYPsなどの組換え酵素、並びに生物学的マトリックスからの代謝物の精製など、様々な方法があります。目的とする代謝物を得る可能性を最大限に高めるためにこれらを組み合わせて最適なアプローチを検討いたします。Hyphaの研究員は構造解明やNMR分光法の専門家でもあります。

主な特徴:

  • アルデヒドオキシダーゼおよびFMOを介したものを含む、CYPおよびnon-CYP媒介経路の両方から産生される第I相代謝物
  • N-、0-&アシルグルクロン酸抱合体および硫酸化代謝物を含む第II相抱合体の産生
  • 1つのスクリーニングで複数の代謝物を検出可能
  • 幅広い構造型と複雑な分子に適用可能
  • 合成が困難な代謝物のための解決策
  • 規制要件を満たす更なる生物学的特性評価のために、MetIDおよびより大量の代謝物にアクセスするためのツールを提供
  • グラム量までの再現可能かつスケーラブルなプロセス
  • 難溶性化合物の製剤ノウハウ
  • 個別設計されたプロジェクトデザインとステージゲート型の支払

 

ケーススタディ

米国のある製薬企業は、200mgを超える3種類の代謝物を必要としていました。N-グルクロン酸抱合体(M1)、間接的な0-グルクロン酸抱合体(M2b)および水酸化体(M8b)です。このプロジェクトにおいて、化学合成、微生物の生体内変化、精製およびNMRによる構造解明など、Hyphaのワンストップ代謝産物ショップの複数の構成要素が採用されました。

主要なN-グルクロン酸抱合体であるM1は化学合成で得ました。合成成功の鍵となったのは、後期段階の化学的グルクロン酸抱合反応に用いられた穏やかな脱保護条件であり、結果としてグラム量のM1の精製がなされました。

N-グルクロン酸抱合体に加えて、間接的な0-グルクロン酸抱合体であるM2bとそのアグリコンであるM8bも必要でした。M8bをつくるには、まず水酸基の位置を特定する必要がありました。これを達成するために、Hyphaの研究員は、クライアントから提供されたヒトの尿から少量のM2bを精製し、クライオプローブNMR分光法を用いてコンジュゲートの構造を解明しました。次に、フェノール性グルクロン酸抱合体の構造から水酸化の位置を知ることにより、M8bを100mg合成しました。

M2bを大量に得るためには、このグルクロン酸抱合体が不安定性や副産物の形成のために化学合成されにくいという点で、異なるアプローチが必要でした。代わりに、アグリコンM8bの微生物生体内変化によってM2bの生成に成功しました。最適な微生物触媒を決定するためのスクリーニング後に、M8bを560mg、Hyphaの生体内変換細菌株の1つに供給し、そこからM2bを254mg精製しました。

精製した3種類の代謝物を、分析証明書とともにクライアントに提供しました。

 

 

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